最先端の債務整理
プライベートバンキングの基礎となる3万口座の顧客を誰が管理するかは大きな問題である。
判断を誤れば顧客は流出する。
日長銀はもともと店舗も少なしリテールには弱いが、投資銀行業務には強く、力を入れてきた。
バブル期に商業銀行部門に力を入れ、大手都銀と貸出しで競ったのが経営失敗のもとであった。
今後、生き残る道はインベストメントバンキング以外にないとトップは認識している。
本格的にグローバルに投資銀行を展開するには、ノウハウ、人材、経験が足らない。
さらに、関連の証券引受や資産運用業務では遅れが一層目立つ。
これを補い、強化するのがSBCとの提携で、SBCもこのことはよく承知している。
SBC自身がこの数年、毎年のように不振の商業銀行部門の店舗や従業員を削減して、インベストメントバンキング部門とプライベートバンキング部門を買収や提携で拡大してきた。
欧米の新聞はいまはSBCを「インベストメントバンカーのSBC」と呼んでいる。
SBCが日本で狙っているのは、当然この2つの部門である。
97年12月、SBCはUBSと合併し98年4月に新たに「ユナイティツド・バンク・オブ・スイス(UBS)」としてスタートすると発表した。
新しい銀行は資産・収益力からみて世界最大の銀行になる。
この合併は日長銀の新しい資本構成にも影響を与える可能性もある。
SBCでは「日長銀との関係は変わらない」としているが「いずれ日長銀は飲み込まれてしまうのではないか」と懸念する声も市場には出ている。
SBC「日長銀提携のニュースは、日本国内ばかりでなく欧米の大手金融機関にとってもショッキングなものだった。
以来、日本の金融機関はこれら欧米の銀行、証券、保険、投資顧問等からさまざまなアプローチを受けている。
業種がなんであれ、共通の狙いは1200兆円の個人金融資産であり、プライベートバンキングである。
今後、国境を超え業種を超えた合従連衡が続々と出てくるにちがいなしユ世界のプライベートバンキングが、いま、一体どんな状況にあるのか、なぜ、注目されるようになってきたのか、簡単に要約してみよう。
プライベートバンクとは、富裕層の顧客を対象に“個人的に”その資産の管理・運用、税務・相続などについてアドバイス、あるいは本人や、家族に代わって直接その資産の運用・管理を行う銀行で、その業務をプライベートバンキングと言っている。
プライベートバンクは通常の銀行ライセンスをもっているが、一般に規模が小さく、株式会社でなくパートナーシップ制の銀行もある。
銀行がヨーロッパで生まれ、発達したように、プライベートバンクも欧州で生まれ、18世紀から19世紀にかげで特にスイスとイギリスで発達した。
当初のプライベートバンクは、富裕な商人や両替商が自分や一族の資産を管理するために銀行を設立し、徐々に戦争で亡命した貴族や金持ちの資産を預かり、運用するようになった、と言われている。
特に、スイスはその立地条件と政治、銀行制度の安定性で世界の富裕層から信頼され、19世紀から20世紀にかけて大いに発展した。
第二次世界大戦後は欧州全域の金融機関の競争や、大手商業銀行による買収や合併によりその数は減少しているが、プライベートバンクが運用する資産そのものは増加している。
プライベートバンカーという場合、プライベートバンクそのものを集合的に指すこともあるが、人を指す時はそこに勤務する一般的な行員を指すのではなく、銀行の経営者、パートナーシップ制の銀行のパートナーや、顧客の相談相手となる“担当者”を意味している。
独立したプライベートバンカーもスイスではプライベートバンキング専業の銀行の場合は、担当者は経営者か幹部クラスである。
インベストメントバンカーやマーチャントバンカーという場合も似かよった言葉の使い方がされる。
大手商業銀行のプライベートバンキングには、サラリーマンのプライベートバンカーの他に契約で働く独立したプライベートバンカーもいる。
プライベートバンカーは待遇も一般スタップとは別で、総じて高給をはんでいるが、給料は一定の固定給十能力給(コミッション)の形をとっている場合が多い。
金持ち顧客と対等につきあうためには、それなりの収入が必要だ。
顧客に“密着”しており、住宅、土地、美術品など資産の把握はもちろんのこと、家族、親戚の一人一人の気質、趣味、財産の状況から、持っている車やヨットの購入時期、買値や走行距離まで頭に入っている、と言われる。
資産管理の「執事」のような存在である。
当然、転勤も少なく独立性が高い。
スイスでは、個人で銀行と顧客双方と契約をして、コミッションベースで顧客の資産運用管理のアドバイザーを業としているプライベートバンカーも大勢いる。
顧客や運用資産が増えてくると「顧問会社」とか「ファイナンス・カンパニー」をつくり、秘書をおいてプライベートバンキングを営んでいる。
スイスでもイギリスでも、プライベートバンカーは一族経営の場合は世襲が多いが、大手では「おしなべて出自が良く、名門大学を出て、品が良く、時に一芸に秀でた、優秀な人材」から選ばれる、といわれる。
警察官の息子とか、地方の牧師の息子など必ずしも裕福でない普通の家庭の出身者も活躍しているが、彼らにそれだけの“優れた能力”が認められている、ということだろう。
プライベートバンカーの社会的地位は高い。
しかし、一方では文字通りプライベート(秘密)の黒いベールに“隠された評価”も併せもっている。
チエース・マンハッタン銀行の調査(94〜95年)によれば、世界には100万ドル(約1億2000万円)以上の金融資産を持っている金持ちが260万人いて、その合計は日本の個人金融資産とほぼ9兆6000億ドル(約1200兆円)になり、うち3兆5000億ドルはオンショワでアメリカの金融機関で運用されている。
金持ちとその富は急激に増えており、現在では300万人を超え、その金融資産は15兆ドルは突破していると推定される。
ある米銀では14兆〜19兆ドルの市場規模と言っている。
プライベートバンクキングは少数の巨大銀行と多数の金融機関に分散化している。
世界のプライベートバンキング市場ではその3分の1をスイスのスイスユニオン銀行(UBS)、スイス銀行(SBC)、クレディ・スイス、アメリカのシティバンク、およびチエース・マンハッタンパンクが支配している。
3分の2はイギリスやスイスのプライベートバンクをはじめ、世界中の多数の金融機関にばらまかれている。
アメリカではモルガンやノーザントラスト、メロンバンクなど、大手でもアメリカ国内のプライベートバンキングの10%程度を支配しているにすぎない。
世界の富裕層は伝統的に、北米、欧州、それに石油時代以降の中東に主に存在しているが、最近はアジア、中南米で急速に金持ちが増えている。
特にシンガポール、香港、台湾が注目される。
これらの金持ちを対象に資産の運用、管理を行うプライベートバンキングは急成長が続き、今後も5年聞は年率10%の成長が見込まれている。
これが大手銀行が注目している最大のポイントである。
一部の大手銀行は既存の金持ちばかりでなしこれから大金持ちの仲間入りをするであろう“中金持ち”を対象にマーケッティングをしている。
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